会話(1)

客席での挨拶

「No.1に美人はいない」などとよくいいますが、顔や姿だけに自信のある女の子はややもすると人形のように、心がないため忘れられてしまうのです。顔や姿に自信のない女性は心と言葉と態度でお客様に接していくので、最後はその気持ちにひかれてお客様がいつまでも来て下さる。お店は休まずに、一生懸命になってお客様につくす、その結果がNo.1に通じて行くのです。
そういう努力をしてNo.1になった人々をよく見てわかることは、四六時中、殿方の事を思い考えお待ち申しておりましたというような喜びと、やっと会えた恋人に対するような瞳のかがやきを持って、こらえきれない喜びと女としてのつつましさをこめた微笑、だきついていきたいのを、じっとこらえている様な身の動き、そしてその中から出る挨拶こそ男として「ああ、俺は幸せだなあ」と思わせ「ああ、やっぱり来てよかった」と思わせるのです。

「燃える孤独が僕を招く」
お店に入って来たときのお客様の心理は席について、女性が席に見えるまでは大変に孤独なものです。と同時に大きな期待をも同居させているのです。それを迎える貴女の挨拶が女性の神秘さと人をこよなく愛する女の本能とつつましさの中に燃える情熱と喜び、会えた感激をこめて表現出来るようになれば貴女は必ずNo.1になれるでしょう。

「挨拶は心の扉を開くカギである」この挨拶から始まって、お話にすすんで行くのです。

会話などというと何か大変むつかしいことのように聞こえますが、そんなにむつかしく考えなくてもいいのです。いつも言葉の使い方、表現の方法に注意と努力をはらっていますと、いつかはそれが貴女の身についたものとなって自然に会話の中に生かされてきます。
まず一つの事を話すのに問題点がいくつかあります。
1、 いかに強く相手に感じさせるか。
2、 いかに相手に抵抗なく受け入れさせるか。
3、 いかに相手に納得させるか。
4、 いかに相手に言葉の裏側を解らせるか。
5、 いかに相手をその話題の中にひきいれるか。
6、 いかに相手に気持ちよく聞かせるか。
7、 いかに相手に話しやすい場を与えるか。

以上を一応心の中において下さい。貴女は話術を身につけて上手に一席、お話をする必要はまったくありません。将来、婦人代議士を目指す方は別ですが、ホステスの営業話術でお話をさせるのではありません。上手も下手もありません。機嫌良くが大切な目的です。お話をしやすいように、お話の水を向ける。この話術がホステスの営業話術です。お客様がのってきて、お話をどんどんすすめると皆さんは合槌を打ち、感心し、そうだったんですか、私はちっとも知らないですよ、とお客様の知識の深さ、広さを感心して見せる。その内容が違っていることに気付いた顔をしてはいけません。機嫌よくお話しさせる、聞き上手になること、「聞術」ですね。少しかたくなっていられるお客様には、手相の話に水を向けて、自分の手を握っていただく「私生命線が短いんですって、じゃ私、美人なのね」などと言って楽しく話して聞き上手になって下さい。
“話し上手に聞き上手”ホステスの場合は話し上手より、むしろ聞き上手の方がお客様からもてます。そのどちらであっても必ずホステスは常に相手の目を見ているというのが一番大切なことです。

 





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