お母さんについていく

梅雨空の雲間よりちょっぴり顔を出しているお陽さま、もうテレビからは梅雨明けを報じている。夏が近づくにつれ、私の胸は希望にふくらみ、身体の底から熱いものがこみあげてくる。あの子と一緒に昼間だけでも過ごせる夏休みがもう目の前まで来ている。すれ違いの多い毎日の中で子供にさびしい思いをかけてきたがもう少しで夏休み…。

ここで私の子供の名前を紹介します。良夫と書いて「よしお」と読みます。ちょっぴりおませな5歳になったばかりの男の子です。…別れる時に「よっちゃんはお父さんの方に行くの。それともお母さんの方についてくるの」何の罪もない子供にこの様な事を聞かさなければならないつらさ、それはとても残酷な事でした。

あの時よっちゃんの大きな瞳からキラキラ光る涙がほほを伝わり、ただ、何も解らないで立って泣いていた良夫の姿が今でも私の目にはっきり残っています。「よっちゃんはお母さんについていく」と一言いったその言葉に私はこの子の為に強く生きなければ、と心にかたく誓いました。その日から子供と二人の生活がはじまったのです。

店が終わって帰ると、良夫は眠っている。その寝顔のすみに涙の跡がある。抱きしめたい位に愛おしく思う。この子もここでこんなに小さな胸がはりさけんばかりに頑張っている。自分がくじけてなるものかと心に誓う。仕事の中で色々あった嫌な事も全て忘れさせてくれる良夫の寝顔。朝、目がさめると「お母さん、身体だけは無理しないようにね」と可愛い瞳で私を見つめる。そして「今日のお母さん、若くてとてもきれいよ」と言ってくれる。私はそんなよっちゃんが自分の心の支えであり、我が子であるのはもちろんの事、友達であり、恋人であり話し相手でもある。

 

この子の為ならどんな苦労でもできる。この子がいれば私は強く生きられる。

この子だけは大事に、そして素直に強く育てて行かねばと思う。

この子とそして私自身の為に…

 

この手記は私たちのグループに勤務なさっているあるホステスさんより送っていただいたものです。誰にでも仕事をしてゆく上で、自分の心の支え、はげみになるものが必ずあるでしょう。それが子供であっても、自分の夢であっても、ずばりお金であってもいいのです。その為に頑張らなければと思えるものであるならば、そして、それらの為に一生懸命努力をして夢を実らせて行く、そこに新たな喜び、倖せが生まれるのです。苦しい事、悲しい事も多くあるでしょう。しかし現実から目をそむけては前に進めない。目をそらさず前向きに何事に対しても取り組んで行きましょう。

 

〇お金儲けがしたい。〇他人よりもいい生活をしたい。〇自分のお店を持ちたい。〇子供の将来の為に…

この様な色々な目的を持って、この業界に入られた貴女、しかし現実は甘くはない。なかなか思う様にならない。自分では一生懸命頑張っているつもりでもそれがお店の方針に従っていない。間違った方向での努力であるならば、その努力は無意味なものになり貴女自身が大損をし、最悪の場合は他の同僚の足を引っぱる結果ともなり、人からはうらまれ収入は少なくなり貴女の夢はますます遠のいて行く事になります。

そんな貴女の為にどの様に努力をし、そして如何に収入に結びつけてゆくかを書きしるした教書をここに贈ります。

さあ今日からの貴女はもう昨日までの貴女とは違います。自信とそして勇気を持って前向きに物事を考え、素直な気持ちで実行して下さい。

 

◎人に勝たんと欲すれば先ず自らに勝て

◎己を責めて人を責めるな

◎人は互いに欠点があるもの、欠点を助け合う所に和が生まれる

 

貴女の前向きな努力と勇気、そしてすてきな魅力と常にたやさぬ笑顔ですばらしい家庭を築き貴女が世の中の誰よりもそして一日も早く倖せになっていただく様、心から願って居ります。

 

◎幸福になろうとすれば、人を悦ばせることであり他の人の幸福のために働くことである。

 

 



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