会話(2)

ある魚つりの名人がつぎのような事をある本に書いていました。「私はイチゴジャムが大好きです。しかし、つりをするときにはハリの先にイチゴジャムはつけません。その魚の一番好きなエサをつけます」

当たり前のことのように思われるかも知れませんが、貴女の周りにイチゴジャムが好きだと、ハリ先にイチゴジャムをつける人が意外と沢山いらっしゃるのではないでしょうか。

ボウリングに夢中になっている人は相手かまわず、ボウリングの話をし、ゴルフの好きな人はすぐゴルフの話をする。つまり相手の好きなエサをはり先につけないで自分の好きなエサをハリ先につけるということです。

ホステスの場合どんなに自分が話したい事であっても、相手にその事に対する関心や興味が全然なかったらその話は聞かれるものではないのです。

「私のいう事を聞いて、実はこうなんです」と言ってペラペラやっても相手は心の中で“ナンダつまらない事ばかりしゃべりやがって”という事になるのです。

話題一つとってみても、その話が聞き手であるお客様にマッチするものでなければなりません。もう一度いいますと、聞き手には、聞き手のそれぞれの特性があるということです。その特性を無視して話すということは魚にイチゴジャムを食べろという事になるのです。

堅苦しいようですが会話の基礎知識として知っておいて下さい。

 

会話のきっかけ、常連客の席なら問題はありませんが、本番でつく初めてのお客様の場合、話のきっかけがむずかしいものです。

「初めてですか?」「どちらから?」などではあまりにも平凡です。

現代っ子の貴女なら

「いらっしゃいませ、本番の〇子です」と言って座ったあと

「アラ、どこかでお目にかかったみたい?どこだったかしら」とか

「ウワァ良かった、本番っていうから、おじいちゃんかと思ったら、私の好みのタイプのお客さんネェ。今日の私ってツ・イ・テ・ル・ワ」というふうに最初に強力なイメージを与えます。もちろんお目にかかったことなどありませんし、好みのタイプでなくてもよいのです。そのあと「菅原文太によく似てらっしゃるワ、ホラここのホッペがひっこんでいるところなんかソックリ、私大ファンなの」

初めてのお客と話をするきっかけは、お客をほめることから始めるのです。次にお客をいい気分にさせることです。男というもの“いい気”になったら大抵無口な者でもしゃべり出すものです。

 

「聞き上手」の見本というのは次の様な事です。

  • 相手の話に対して
  • うなづき、相槌をうちながら
  • ほほえみながら、相手の目を見て
  • 宝探しの優しいまなざしで
  • ちょっとした訴えにも反応を示して
  • 心の中で拍手を送りつづける

この様に聞き上手こそがホステスのサービスなのです。

 

“入るとき、かたくて、出すとき、ぬれてて、やわらかくなってて、あとで紙でしまつするものはナーニ!?”

「アレヨ、アレ、アレのことなのよ」

と笑って

「つまり、チューインガムね」

というふうに軽い話を盛り込んでユーモアで座をにぎわすのも、貴女の役目です。

 

 



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