本番客へのサービス(5)

だれだって多少の人見知りをする。こうして相手をさぐり合う瞬間は、二人の間に初対面の壁が出来ている。その壁を破るのがホステスの仕事である。いかに早く、人見知りの壁を破るかがこの稼業の腕であろう。

 

  • いちげんの客には必ずビールを注ぎそこねるホステスがいる。コップからビールをあふれさせるのである。それも沢山ではなく、客の手が少し濡れる程度にする。客はあわててコップを口にもって行く。その瞬間「アラ、ごめんなさい」と大さわぎで、ハンカチをさっと出して顔や手をふきとり、「どうもごめんなさい」と心配そうにお客の顔をのぞきこむ。ハンカチを使ってお客の体にさわることで人見知りの壁を破るのである。相手を知るより先ずさわれ!女にさわられて不愉快になる男はまずいないから、これでいっぺんに親しみがわくのです。

 

  • 首をかしげながら席につき、いきなり「ネェお客様、生理の時のセックスって妊娠しないってホントウ?」と妙な質問をするホステスがいる。「ホントだよ。するわけないじゃないか」と客はたちまち話にのってくる。

 

  • おしぼりをお客様に使わせず、手でもってお客様の顔をふいてやるホステスがいる。初対面の中年客へ「お客様は奥さんがいらっしゃるの?」と質問し「だめねぇ。地位のありそうな人ってやっぱり独身じゃないのね…」としょんぼりして見せる。

 

こうして初対面の壁を破って行くのである。良い第一印象は品定めではなく、行動から生まれる。先手、先手で何か印象的な貴女自身をお客様の心に焼き付けるサービスをするのです。

初対面でお客の気持ちをとらえることの上手なホステスは、結局、お客様に親しみを持ち、お客様を大事に思っている人であろう。ハゲでもデブでもスケベエでも高いお金を払って飲みに来て下さるのである。その事自体に感謝の気持ちを持ち、素直にそれを表現できる人、それがプロホステスである。女の心で仕事にあたれば、みっともないお客は嫌だろうが、親の心であたればわだかまりや抵抗は消える。そして欠点の多い男性ほどどこのお店に行ってももてないので、貴女のちょっとした心づかい、サービスに感激して一生懸命貴女の元に通って下さるのである。

“チビ、デブ、ハゲ、スケベエ”の客には自分から進んで本番につく位の心がまえで仕事をしましょう。

もてそうもないお客ほど徹底サービスをすることですよ。

「相番本番」につくのを嫌うホステスさんがいるようですが、それは大きな心得違いをなさっているようです。その人は相番本番のメリットを知らないホステスさんでしょう。なぜならば「何人か指名されるホステスさんがいる」という事は、今までに何回かご来店いただき、この店の雰囲気が気に入っていただけ、又今後もご来店いただける可能性が非常に高いという事であり、相番本番についた貴女は指名されなかった「なじみのホステスさんがいないお客様」の心をしっかりつかんでおれば、又次回のご来店はもう確実なのですから、その時は必ず本指名で呼んでいただけるのです。

オール本番の場合はわずかなミスも許されませんし、又そのお客様が本当にこの店の雰囲気になじんでいただけるかどうかという所に問題がありますが、相番本番の場合はその心配はありません。そして本指名のホステスさんも、本番のホステスさんも全員で仲良く助け合い、常に楽しいムードを演出しながら、サービスしておりますと、お客様は「今まで指名していたホステスと一緒に今度はこの娘も呼べばもっと楽しく遊べるぞ」と思われ、次は本指名で必ず呼んでいただけるでしょう。

 

 




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